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 イスファハンのイマーム広場


イスファハンのイマーム広場
遺産形態 文化遺産
遺産名称 イスファハンのイマーム広場
関連遺産ページ イマーム・モスクシェイク・ロトフォッラー・モスクアリー・カプー宮殿チェヘル・ソトゥーン宮殿ジャメ・モスク
遺産規模 南北512m、東西192m
所在地 イラン・イスラム共和国イスファハン
位置図
地理(周辺状況) イラン高原中央部のイスファハンは首都テヘランから南方約330kmにあり、ザグロス山脈とその支脈の山々に囲まれた標高約1,600mの盆地状の高原にある。イラン高原の気候は、エルブルズ、ザグロス両山脈が外洋からの影響をさえぎる自然の障壁となっているため、降水量が年間を通して少なく(高原全体の平均の年降水量は250mm程度)、極度に乾燥していることが特徴である。大陸性の気候を示すイラン高原は、夏と冬の気温較差が25度以上と大きい。7月は平均気温30度、昼間は40度を越す暑さを記録するが、1月は中央アジア方面の高気圧帯から寒冷で乾燥した空気が流れ込んでくるため、平均気温は3度となり、寒さが厳しい。また、冬は地中海方面から移動してくる低気圧の影響で、雨がこの時期に集中して降る。町の南にはザグロス山脈に水源を発するザーヤンデルード川が東西に流れている。周辺の農村はこの川によって灌漑され、その豊かな生産力によってイスファハンはイラン屈指のオアシス都市として古来、繁栄してきた。豊かな水と緑に恵まれた町の風光は、周囲の砂漠地帯とはまさに別天地の趣がある。オアシスの水は、生活用水として使われる一方、小麦・大麦・米・綿花・葡萄・メロン・アルファルファなどを産し、また、牛、ヤギ、羊、ロバなどの家畜用飲料水としても利用される。パフラビー朝成立後、衰退した伝統産業に代わって、近代的な繊維工業が興された。また、外国から技術や設備を輸入して、製鉄・石油化学・各種機械工業などが立地している。
世界遺産登録状況 登録基準 (1)人類の創造的天才の傑作を表現するもの。
(2) 特に回復不能な変化の影響の下で無防備状態となっている場合における、ある文化(又は複数の文化)を代表する伝統的集落又は土地利用顕)著な例。
(3) 顕著な普遍的な重要性を有する出来事又は現存する伝統、思想又は信仰、芸術的及び文学的作品と直接に又は明白に関連するもの(委員会は、この基準が一覧表への登録を容認するのは、極めて例外的な場合、かつ他の文化遺産又は自然遺産の基準と関連している場合に限られるべきであると考える。)。
登録年月日 79/10/26
危機遺産登録 なし
成立時期(時代等) 1598年〜1617年
遺産概要 イマーム広場は、かつて「メイダーニ・シャー」(王の広場)と呼ばれ、正式名称は「メイダーニ・ナクシ・ギャハン」(世界の肖像の広場)である。1598年、首都をイスファハンへ移したシャー・アッバース1世は、大規模な都市計画にもとづいて新しい市街を旧市街の西南方に建設しはじめた。その中核となったのが、このイマーム広場である。この広場は南北512m、東西159mという広大な長方形で、周囲を整然たる2層のアーケードで取り囲み、四辺にそれぞれ1件ずつモニュメンタルな建築が配置されている。まず、南辺中央には大寺院イマーム・モスク(1612-37)のイワーン状の門が位置する。このモスクは、イランの近世イスラム建築を代表する傑作として名高く、チャハル・イワーン形式をとっている。東の小寺院マスジド・イ・シェイフ・ルトゥフ・アッラー(1601-18)は、王族のための専用礼拝堂であった。規模こそ小さいが、壁面やドームを覆う彩色タイルのアラベスクが格別に美しく、サファビー朝建築の白眉といえる。北にはバザールの門ダールワーザ・イ・カイセリヤ(1600頃)、西には王宮の門アリ・カプー(17世紀初頭)が位置する。この広場は、16世紀末から少なくとも2段階の整備、改築過程を経て、1617年頃までに現在見られるような姿が完成した。特に、19世紀後半以降大規模な改変を被ったが、今日も基本的な構造は創建当時の姿をとどめている。1960年代には、イタリア中東研究所による「イマーム広場」周辺の修復工事が開始され、それに伴う考古学的発掘成果が次々と発表された。現在、広場は池などを設けて公園化されているが、本来は一面砂敷きの平坦なグランドで、各種の儀式や競技がここで催された。また、広場を囲む長大なアーケードは、上下2層のうち下層だけが店舗として活用され、アーチ1単位ごとに区分し、商人や手工業者に貸与されていた。現在は数多くのクラフトショップが並んで、バザールとともにショッピングのメッカとなっている。モスクのドームや壁面のタイルのアラベスクは、イラン芸術の最高美と賞賛されている。

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