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 パハールプール仏教僧院遺跡


パハールプール仏教僧院遺跡
遺産形態 文化遺産
遺産名称 パハールプール仏教僧院遺跡
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遺産規模 約9ha
所在地 バングラデシュ人民共和国ラージシャーヒー県
位置図 位置図
地理(周辺状況) インドとミャンマーに挟まれガンジス川の下流域に位置するバングラデシュは、その国土の大部分が低湿地帯の平野である。バングラデシュの北西ラージシャーヒ県のナオガオン地区にあるパハールプール仏教僧院遺跡はこのような平野の中に建てられており、地質は主に沈泥(砂よりは細かいが粘土よりは荒い沈積土)と粘土からなる。遺跡の周りには農耕地が広がり、近隣にはジャイプルハット・ナオガオン・ボグラなどの町があるが、遺跡への交通の便はあまり整っていない。気候は高温多湿が特徴的な熱帯性気候であり、一年が雨季と乾季に分けられる。年間最高気温約36度・最低気温12度、湿度は約37%〜86%に及び、年間降雨量は約170cmである。5・6月〜10月の雨期は高温多湿で、年間降水雨量の90%以上がこの時期に集中している。11月〜2月の乾期には低温で、雨はほとんど降らない。雨期の高湿度により、遺跡の表面に苔やかびが生えやすくなり、それによる煉瓦やテラコッタの変色・劣化などが心配されている。敷地内には博物館やレストハウスなどが用意され、訪問者の便宜を図っている。
世界遺産登録状況 登録基準 (1)人類の創造的天才の傑作を表現するもの。
(2)ある期間を通じ又は世界のある文化上の地域において、建築、技術、記念碑的芸術、都市の構成又は景観の意匠に関し、人類の価値の重要な交流を提示するもの。
(3)現存する又は消滅した文化的伝統又は文明の、唯一の又は少なくとも例外的な証拠であるもの。
登録年月日 85/12/01
危機遺産登録 あり
成立時期(時代等) 8世紀後半〜9世紀前半
遺産概要 現在バングラデシュの首都ダッカから北西200kmほどに位置するパハールプール仏教僧院遺跡は、パーラ朝(8世紀〜9世紀)2代ダルマパーラ王により創建されたインド大陸最大規模を誇る仏教寺院である。パーラ朝において仏教は歴代の王の保護を受けて大いに発展し、また仏教寺院も多数造られたが、このパハールプール仏教僧院もその一つである。一辺が300mの四方の敷地で、北面中央に入り口を設け、その周囲四面にわたり177の房室を備えている。中庭中央に十字型プラン(110×90m)をした塔院が配されている。十字型プランの基壇を階段状に積み重ねて造られており、最上段には高塔があったといわれる。嘗ては基壇の壁面にはテラコッタ浮き彫りの鏡板が3000点近くはめ込まれており、仏教尊像・ヒンドゥー神像のほかに人間や動物の生活も主題とされている。その他に中庭には小祠堂などの遺構が散在しており、これらの建造物はすべて煉瓦造りである。創建当時は各地から修行僧が集まり教学研究などに励んだといわれるが、仏教自体はそののち次第に勢力を強めてきたヒンドゥー教に押され衰退の色を強め、13世紀にはイスラム勢力の進入により仏教はインドにおいて壊滅状態になった。1925年〜1934年に、カルカッタ大学とインド考古局により発掘調査が行われその存在が明らかにされたが、建築・歴史的に貴重な遺跡であるとして、ユネスコの世界文化遺産に登録されている。

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