フィールドナウ●Field Now 世界遺産を行く「インドネシア・ジョグジャカルタ」

インドネシアのジャワ島中部に位置するジョグジャカルタは、かつてはジョグジャカルタ王国の都として栄え、現在も州都としてそして多数の大学が集まる学生の街として発展している人口約46万人の街です。今回は、この古都ジョグジャカルタにある、東南アジアを代表とする2つの世界遺産「プランバナン寺院遺跡群」と「ボロブドゥール寺院遺跡群」をご紹介します。
取材に際しては、ACCU奈良事務所主催の研修参加者であるモハマド・ナシルさん(インドネシア文化観光省勤務、2006年集団研修参加)とセプティーナ・ワーダニさん(中部ジャワ島考古学保存事務所勤務、2006年青年交流参加)のご協力を得ました。また、最新の情報も伺うことができました。

円壇上のストゥーパと仏像


ボロブドゥール寺院遺跡群
セプティーナ・ワーダニさんから回廊レリーフの説明をうける/ボロブドゥール全景 ボロブドゥール遺跡は、仏教を信奉していたシャイレーンドラ朝によって8世紀中頃建造された世界最大級の仏教寺院ですが、中部ジャワ島におけるヒンドゥー教の台頭と仏教の衰退とともに人々の記憶から忘れさられ、19世紀に再発見されるまで火山灰に覆われた密林の中に埋もれていました。
 ボロブドゥールは、もともと平原の中央にあった丘にさらに盛土をした上で、安山岩などを積み上げてできた、高さ33.5m(もともとは42m)石造の階段ピラミッドです。
 この階段ピラミッドの構造は、下から一辺約115mの方形の基壇と、その上に5層の方形壇、3層の円形壇、そしてその頂上には大ストゥーパが載っています。5層の方形壇の壁には、仏教説話に基づくレリーフが施されており、インドのグプタ美術の影響を受けた洗練された彫刻の優雅さに圧倒されます。
 現在、多くの観光客が訪れる人気の世界遺産ですが、1960年頃崩壊の危機に見舞われました。1973年からユネスコの遺跡救済キャンペーンにより、最新技術による遺跡の解体修理、地盤の強化と排水設備の設置などの国際援助が行われ、日本も大きな役割を果たしました。1983年に事業が完了し、千年保つことを願って修復されたボロブドゥールが、再び美しくよみがえりました。
 「ジャワ島中部地震では、幸いなことに特に大きな被害はありませんでしたが、雨水などにより劣化が進んでいるレリーフなどもあります。文化遺産を保護・修復する一員として大切に守っていきたいです。」

(セプティーナ・ワーダニさん)



プランバナン寺院遺跡群

プランバナン寺院全景


竹棒で支え崩落を防ぐシヴァ堂側室入口/シヴァ堂回廊のレリーフ  プランバナン寺院遺跡群は、プランバナン寺院を中心とした複数の寺院が残るヒンドゥー教の寺院遺跡です。まだ記憶に新しいことですが、2006年5月27日に発生したジャワ島中部地震により、大きな被害を受けました。今年8月に現地を訪れた際には、8つの堂が建つプランバナン寺院は、一見整然としてはいるものの、依然崩落の危険性があり、シヴァ堂など一部の堂では、その周囲を柵で囲い、一般の見学者の入場は禁止されていました。
 中央にあるピラミッド型の塔を持つ、高さ47mの主堂シヴァ堂には、ヒンドゥー教の三大主神の1つであるシヴァ神が祀られています。その回廊には、古代インド叙事詩「ラーマーヤナ」を題材にした美しいレリーフ(浮き彫り)が施されています。また主堂の各側室にはシヴァ神をはじめとした4つの神が祀られています。回廊に施されたレリーフや各側室の外壁にはおびただしい数のひびが見受けられ、いまにも崩壊しそうな南側室の出入口は竹棒で支えられており、地震による被害の大きさを実感しました。

中部ジャワ島考古学保存事務所
左から3人目がセプティーナ・ワーダニさん。中央がモハマド・ナシルさん
(於:中部ジャワ島考古学保存事務所)

 「地震後の復興作業は着実に進んでいますが、亀裂が多数あるなど地震の被害は大きく、もとの姿に戻るにはまだ時間が必要です。」

(モハマド・ナシルさん)