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東大寺  

 東大寺の入口には、豪壮な姿の南大門が建っています。日本最大の山門です。創建当時のものは、1180年の兵火で失われたが、約20年後に位置や規模を踏襲して再建されました。再建の際には、当時の中国の新しい建築法が取り入れられた。柱と柱とを横に貫いてつなげる「貫(ぬき)」という技法です。巨大建築群の再建に適した技法で、鉄骨造りのような機械的な構造美を見せています。

 大仏殿の中には、世界最大の鋳造の大仏があります。太陽の輝きに例えられる仏で、万物に平和と繁栄をもたらし、国土を安泰に護るとされます。像の高さは約15メートル。胴体部分は建物の火災とともに焼け落ちましたが、胴体下部から台座にかけては当初のまま残ります。

 大仏殿の北側には、756年頃に建てられた正倉院正倉があります。天平文化を代表する多数の美術工芸品が納められています。現在に伝えられているこれらの品々の中には中国・インド・ペルシャなどからシルクロードを通ってもたらされたものもあります。宝物の数々は、毎年秋に、近くの奈良国立博物館で公開され、当時の国際色豊かな宮廷文化を鑑賞できます。

 東大寺は、今も生きる宗教活動の場でもあります。大仏殿東側のゆるやかな山並みの中腹に建つ2月堂の「お水取り」と呼ばれる行事は有名です。僧侶が日頃の過ちを本尊に懺悔し、清浄な心身を得るという法会です。大仏開眼以来、約1250年もの間、一度も休むことなく続けられています。

 東大寺境内の西の入口に建つのが、転害門です。1200年頃、修理・改造されましたが、創建当時から残るただ一つの門の遺構として貴重な存在です。太い柱の雄大な門の前には国道が通り、市民の暮らしに溶け込んでいる奈良時代創建時の遺構です。

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